海外出張費用ってどこまで経費になる?―日当・宿泊費などの税務をやさしく解説

👦ひろ「海外出張ってカッコいいけど、お金は全部会社が出してくれるのかな?」
🦉お師匠ゴッド「ふむ…そこが経営の落とし穴じゃ。出張費用の処理を間違えると、思わぬ税金のリスクを背負うことになるのじゃよ。」

この記事では、海外出張費用を「どこまで経費にできるか」「給与課税されるのはどんな場合か」などの基本を、初心者にもわかるように会話形式で解説していきます。

この記事でわかること

  • 海外出張の旅費・宿泊費・日当の正しい扱い
  • 休日や観光が混ざる場合の注意点
  • 法人税・所得税の課税リスクの境界線

海外出張費用の基本ルール

🦉お師匠ゴッド「まずは基本じゃ。出張費用には大きく4つある。航空券などの旅費、宿泊費、日当、そして現地での諸経費じゃ。」
👦「へぇ!じゃあ、それぞれ経費にできるんですか?」

🦉「次の表で整理してみようかの。」

項目内容税務上の扱い
旅費(航空券・移動)日本~現地の往復や現地での交通費業務目的なら全額経費、給与課税なし
宿泊費出張期間中のホテル代妥当な範囲であれば経費
日当諸経費補填や慰労の意味妥当な額なら非課税、高額すぎると給与課税
諸経費通信費・資料代など実費精算で経費

👦「なるほど!でも休みの日に観光したらどうなるんですか?」


休日の滞在費と観光の扱い

👦「例えば土日は現地工場が休みで仕事できないから、ゴルフしちゃったら?」
🦉「ゴルフをしても、休日の過ごし方は自由じゃ。問題は“会社が負担している費用”なんじゃ。」

  • 出張命令で滞在している → ホテル代は経費として認められる
  • 観光を組み込んで延泊 → その分は給与課税リスクあり

👦「じゃあ、会社命令で仕方なく現地に残るならセーフってことですね!」
🦉「その通り。ただし“観光のために出張を延ばした”と見なされると、アウトじゃな。」


日当はどこまでOK?

👦「日当ってお小遣いみたいで嬉しいな!」
🦉「お小遣いではないぞ。日当は、雑費補填や勤務地を離れて働く慰労の意味合いがあるんじゃ。」

  • 1日5,000円程度 → 妥当な範囲で非課税
  • 高額すぎる日当(例:2万円) → 給与課税の対象
  • 休日の日当 → 業務をしていなければ課税リスク

👦「休みの日でも日当をもらえたらラッキーなのに!」
🦉「それが“給与”と見なされる危険があるから、会社にとってはリスクなのじゃよ。」


実務でのポイント

🦉「経営者が覚えておくべきポイントをまとめてみよう。」

1. 旅費規程を整備する

👦「ルールを作っておけば安心ですね!」
🦉「そうじゃ。国内外問わず日当・宿泊費・交通費の基準を文書化しておくのじゃ。」

2. 証拠資料を残す

👦「飛行機のチケットとか?」
🦉「その通り。航空券、ホテル領収書、行程表、出張報告書…これらは課税リスクを避ける盾になる。」

3. 観光は自己負担

👦「えー!?」
🦉「経費と遊びは分ける。これが鉄則じゃ。」


ベトナム出張のケース

👦「記事の例みたいに、食品会社の人がベトナムの工場を2週間チェックに行った場合は?」
🦉「まとめるとこうなるの。」

  • 航空券・ホテル代 → 経費
  • 日当5,000円 → 妥当で非課税
  • 休日の宿泊費 → 出張命令による拘束なので経費
  • 休日の日当 → 課税リスクあり

👦「同じ出張でも扱いが分かれるんですね!」
🦉「うむ。“業務関連性”がキーワードじゃ。」


ゴッドのまとめ

🦉「孔子の言葉に“君子は義に喩り、小人は利に喩る”というのがある。

正しい目的(義)を持って出張するなら、費用も正しく処理できる。

だが私欲(利)が混じれば、税務上のリスクを招くのじゃ。経営者よ、出張費用の線引きを誤るなかれ!」


用語解説

  • 給与課税:会社からの支給が“給与”とみなされ、所得税の対象となること。
  • 損金算入:法人税の計算上、会社の経費として認められること。
  • 旅費規程:出張時の費用支給ルールをまとめた社内規程。

今日の宿題

👦「じゃあ今日の宿題は?」
🦉「自分の会社(または将来作る会社)で、“出張旅費規程”をどんなルールにするか考えてみるのじゃ。日当はいくら?宿泊費の上限は?観光と仕事をどう切り分ける?これを考えることが、正しい経営の第一歩になるぞ。」