起業家の脳はなぜ止まらない?ドーパミンと“うまく走り続けるコツ”

「なぜあの人は、失敗しても立ち上がれるの?」
「どうして起業家は、そんなにエネルギーがあるの?」

その謎を科学の視点から解き明かした本があります。
それが、カナダのニール・シーマン著『Accelerated Minds(邦題:起業中毒)』。
この本では、「起業家の脳の中では、ドーパミンという物質が暴走している」と語られています。

つまり――起業家の情熱や執念は、脳の仕組みそのものに関係しているんです。
今回はその仕組みと、「どうすればバランスよく走り続けられるのか」を一緒に学んでいきましょう。

この記事でわかること

  • 起業家の脳を動かすドーパミンの正体
  • 「快楽主義」と「価値志向」、2タイプの起業家の特徴
  • 挑戦を続けるために、どんな考え方が大切か

起業家の脳の中では何が起きているの?

🦉お師匠ゴッド「ひろ、ドーパミンって知ってるかの?」
👦ひろ「ゲームで勝ったときに“やったー!”ってなるやつ?」
🦉「まさにそれじゃ。ドーパミンは、うれしいことが起きた時に“快感”を感じさせる脳の物質。人はその快感をもう一度味わいたくて、同じ行動を繰り返す。」
👦「なるほど、だから好きなことに夢中になるんだね。」
🦉「起業家はこのドーパミンのスイッチが非常に敏感なんじゃ。新しいアイデア、投資の成功、世の中にないものを作る喜び… それが脳を爆発的に刺激する。」
👦「つまり、起業家は“やる気が止まらない”脳なんだね!」
🦉「うむ。だが、行きすぎると“中毒”になる。寝ても覚めても仕事、失敗しても止まれない。まるでジェットコースターのようじゃ。」


成功も失敗もストレスになる

👦「でも先生、成功したら幸せなんじゃないの?」
🦉「それが難しいところでな。成功すれば期待も増える。『次はもっと』『まだ足りない』と、自分で自分を追い込んでしまう。」
👦「うわぁ…終わりがないレースみたい。」
🦉「実際、起業家の7割がメンタルの問題を経験しておる。成功も失敗も、どちらも強いストレスを生むんじゃ。」

止まらない人ほど“休む勇気”を持とう

人は休んでこそ、また走れる。
ドーパミンが出続ける状態は、短距離走を全力で走り続けるようなもの。
だから、意識的にオフをつくることが一番の「自己管理術」なんです。


天才も苦しんだ ― アーロン・スワーツの物語

🦉「アーロン・スワーツという若者を知っておるか?」
👦「知らないけど…有名な人?」
🦉「14歳でインターネット技術RSSを開発し、Redditにも関わった天才じゃ。だが26歳で自ら命を絶った。」
👦「えっ…どうしてそんな若さで?」
🦉「彼は“知識をすべての人に自由に”という理想を追ったが、社会の壁とぶつかり、孤独になってしまったんじゃ。理想が大きいほど、傷も深くなる。」
👦「理想を持つことは大事だけど、ひとりで抱えすぎないことも大切だね。」
🦉「その通り。仲間を持ち、話せる人を持つこと。それがドーパミン暴走の“ブレーキ”になるんじゃ。」


2つの起業スタイル ― あなたはどっち?

🦉「ひろ、起業家には2つのタイプがある。」
👦「えっ?性格の違い?」
🦉「うむ。“快楽主義型”と“価値志向型”じゃ。」

タイプ動機強み弱点対策
快楽主義型お金・勝利・注目されること失敗しても切り替えが早い意味を見失いやすい「何のために」やっているかを言語化する
価値志向型社会貢献・生きがい・使命感長期的な信頼を築ける責任感が強すぎて潰れやすい「一人で抱えない」「小さな成功を喜ぶ」

👦「僕は価値志向型っぽいかも!」
🦉「それは良いことじゃ。だが理想が高すぎると自分を責めやすい。
“できなかった”より、“ここまでできた”に目を向けるんじゃ。」
👦「なるほど!視点を変えれば気持ちも変わるんだね!」


現代の起業環境 ― 速すぎる社会の中で

🦉「2008年のリーマンショック以降、起業家たちは“社会を変える”より“早く売る”方向に傾いた。短期的なお金の成功が価値になってしまったんじゃ。」
👦「うわ、スピード勝負の世界だね。」
🦉「さらに、投資家たちは自分のリスクを減らし、若い起業家にリスクを押しつける。結果、経験の浅い若者が全財産をかけて挑戦し、失敗して燃え尽きる例が増えておる。」
👦「なんか、成功ってキラキラしてるけど裏はすごく厳しいんだね…」
🦉「そうじゃ。だからこそ、速さより持続を大切にせねばならん。」

「スピード」より「方向」を大事にしよう

速く走ることより、「どこへ向かうか」が大切。
もし進む方向が間違っていれば、早く走るほど遠回りになる。
成功する人は「なぜやるのか」を何度も自分に問い直しているんです。


ゴッドのまとめ

🦉「ひろ、今日の話で一番大事なのは“ドーパミンに支配されないこと”じゃ。
起業家に限らず、誰でもドーパミンの影響を受けて生きておる。
でも、それを『やる気のエネルギー』として使うか、『暴走の燃料』にするかは、自分次第なんじゃ。」

👦「なるほど…!つまり、“自分の心のアクセルとブレーキを知る”ってことだね!」
🦉「その通り。
エマーソンの言葉を贈ろう――
『偉大さとは、誤解されることを恐れないことだ。』
人と違う道を選んでもいい。大事なのは、自分のペースで走り続けることじゃ。」


用語解説

  • ドーパミン:快感や達成感を感じた時に出る脳内物質。モチベーションを上げるが、出すぎると中毒的に。
  • RSS:サイトの更新情報をまとめて受け取れる仕組み。Redditなどに活用された。
  • ベンチャーキャピタル(VC):スタートアップに投資する会社。成功時に株式を売って利益を得る。

今日の宿題

あなたが今、夢中になっていることは何ですか?
その「やる気」は、快楽(結果のワクワク)から?それとも価値(誰かの役に立つ喜び)から?
その答えが、あなたの“ドーパミンの使い方”を教えてくれます。